◇ トルヒージョ (Trujillo) ◇


 さて、トルヒージョに向かって出発だ。

既に市街地を抜けているので運転はもう大丈夫だろうと安心する。 ハイウェイに入りしばらく走るが、やはり車はガラガラだった。 久し振りの左ハンドルマニュアル車と出発時の大騒ぎでなんだか疲れてしまい、さっそくサービスエリアで休憩するのであった。

サービスエリアでゆっくり休憩してから走り出すが、ガラガラのハイウェイのドライブは単調でつまらないということで、ルートを変更して途中でハイウェイを降りて一般道を走ることにした。

一般道はハイウェイと並行に走っているのだが、この道はハイウェイにも増して車が全然いない。 整備された120km制限の無料ハイウェイがあるので、この少々荒れた100km制限の道を走る車はいないんだろうな、と思った。 しかし、この一般道は風景が刻々と変わり、草を食む牛が真横で見られたり、遠くまで続くオリーブ畑の中を走ったり、なんだかとても楽しいドライブなのだった。

この一般道をのんびりゆっくりと走っていると、トルヒージョの町らしくものがが道の遠く先の丘の上に小さくみえてきた。 この丘の上の町は車が進むにつれてどんどん大きくなってきた、そしてひときわ高い塔が目立つ。 なんだかイタリアのトスカーナの町ピエンツァの風景に似ているなぁなどと思う。

車はこの町に向かってひた走り、ついに丘に到着してトルヒージョの町に入る。 案外大きな町だった、途中のスーパーマーケットで水、コーラ、ビールの三点セットなどを買ってから、分かりにくい道を慎重に進みパラドールにチェックインした。

トルヒージョのパラドールは、16世紀のサンタ・クララ修道院を改造したもので、中心の広場から10分くらいの高台にある。 場所は分かり辛いところにあるのだが、カーナビは完全にサポートしてくれたので特に迷うことなく到着することができた。 ホテルとしては老朽化してきている印象だがそこはパラドール、どっしりとした重厚な建物で迫力がある。 中は静かで贅沢な造り、とても落ち着いた雰囲気がありゆっくりとできる。

部屋で一休みしてから、中庭のテーブルでウェルカムドリンクを楽しむのだった。 昨年は生絞りオレンジジュースが美味しかったので今年も楽しみにしていたが、今年はウェルカムドリンクではオーダーできなかった。 生絞りは有料だ、ビンのジュースなら出せると言われてがっかりした、ウェルカムドリンクも経費削減ということだろうか? 地元のワインは相変わらずおいしかった。

さてさて、まだ暑い日中だがパラドールを出てまずは中心の広場に行ってみよう。 適当に石畳の坂道を下って歩いてゆくと、突然目の前に大きな広場が出現した。 これがマヨール広場 (Plaza Mayor) か!

広場には、馬に乗った騎士の大きな銅像があった、なんとピサロの銅像だった。 南米のインカ帝国を滅亡させたピサロは、この町の出身だったのだ。 銅像には「レコンキスタの英雄ピサロ」と書いている。 うーん、ペルーでは「インカ帝国を滅亡させた侵略者/略奪者/殺戮者」である彼が、ここでは「莫大な富を持ち帰った町の英雄」なのか、なんだかとても複雑な気分になってしまう。

それにしても広い広場だなぁと感心する。 広場から坂道を上り曲がりくねった道をぶらぶら散策していると夜になってしまった。 と言ってもまだ明るいので昼間の感覚ではあるが。 さて夕食にしよう、小さな町なので選ぶほどのレストランはない、町一番のレストランへ繰り出した。 夜の8:30に店に入るとちょうど開店直後で、中庭にテーブルを準備しているところだった、またしても最初の客になってしまう。

ガスパチョとサラダ、メインにターキー料理をオーダーする。 やはり本場のガスパチョは美味しいなぁと感激しながら中庭での夕食を楽しむのだった。 やっと店が混み始め中庭のテーブルが満席になる頃には夕食を終えて、やっと暗くなり始めた町を歩く。

明日はどこに行こうかなと考えながらぶらぶら歩いて広場に戻ってくると、広場はあちこちがライトアップされていて美しい。 子供は走り回り観光客は広場に面したレストランで夕食を楽しんでいる。 ものすごい活気でびっくりする、広間の閑散とした広場、夜はこんなになるもんだな。



 翌朝、いつものようにゆっくりと起きて遅い朝食をとり、部屋でゆっくりとしていると12時になってしまう。さて、観光に出発するのだ。

この町も14時にはほとんどすべての見どころ、店が閉まるので時間がない。 一目散に「サンタアリア教会 (Iglesia de Santa Maria la Mayor)」を目指す。

前夜のレストランの近くに教会はあった。 この教会は二つの塔を有しており、それぞれに登ることができるらしい。 まず高いほうの塔に登る、階段をどんどん上ってゆく。 塔の頂上は風が強くて涼しい、いや寒いくらいなのだ。

塔の上からは360°の絶景を楽しむことができた。 カサレスから移動してきたときに、真正面の丘の上にに見えていた「ひときわ目立つ高い塔」の一番上にいるのだ、つまりトルヒージョで一番高い場所にいることがわかる。 風が強くて気持ちが良くて、この塔には1時間もいたような気がする。 ついに寒くなってきたので一旦下に降りて、教会の反対のドアを通り、今度は隣の塔に上る。 こちらは螺旋階段の連続で目が回りそうだ。ピサの斜塔のらせん階段を思い出した。


シェスタの時間になったので一旦パラドールへ戻り休憩、エアコンの効いた部屋で休んでから恒例となった「パラドール探検」に行く。 このホテルは修道院を改造しているのだが、建物は当時の重厚な感じをそのまま残している。 外は快晴、強い日差しで気温は高いのだが、この建物の中は涼しい。 シェスタの時間ということもあって静寂が支配する静かな空間となっているのだ。 人気のない建物の中を歩き回っていると中世の修道院にタイムスリップしたような気分になった。

夕方になりシェスタ終了、町が動き出す時間に合わせて行動開始。 またまた坂道を上りアラブ城 (Castillo Arabe) へと向かう。 アラブ城は要塞跡だった、360°全方角が遠くまで見渡せる位置にありまさに「強固な要塞」という感じ。 雰囲気のある城壁を歩いて一周することができた、ここから見下ろすマヨール広場はなかなか良い景色だった。

お腹が減ってきたがまだ明るい、でももう夜の8:30だ。たまには広場に面したレストランもいいかな? と思い、観光客で賑わう広場のレストランで夕食にする。

広場の噴水/ピサロの像/アラブの城を眺めながら、そして行き交う人たちを観察しながら夕食を楽しむ。 普段は広場に面しているレストランは(観光客向けなので)ほとんど行かないのだけれど、たまにはなかなかいいもんだなと思った。



・・・・・・・・ to be continued


 



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