★ セゴビア ★



Segovia


 マドリッドからのバスは高速道路を走りセゴビアに到着した。 街外れのバスターミナルからブラブラ歩いて「i(インフォメーションオフィス)」を目指す。 快晴のセゴビアは土曜日ということもあって観光客も多くのんびりした雰囲気だった。 この2時間後には今回の旅行最大の危機に陥ることになろうとはこの時には想像も出来なかったのであるが・・・

 ホテルを予約していなかった我々は「iでどこか紹介してもらおう」と気軽に考えていたので、インフォメーションに着いて「安いオスタルかペンションを紹介してください」と頼んだ。 するとセゴビアの地図の外れのとんでもなく遠い場所を紹介されかかったのだった。 それは遠すぎる、もっと街の中心に近くないとだめだというとiのお姉さんは冷たく「本日は混んでいて宿泊施設は満室が多いので自分で探してくれと」言ってホテルリストをいきなり渡された。 そんな不親切な、電話してくれてもいいじゃあないかと頼むが何と拒絶された。 こんなに不親切なインフォメーションは珍しいなあ、わかったよ自分で探すよ、と言ってホテルリスト片手に宿探しを始めたのであった。

荷物を道路脇のベンチに置いてから交代で街中の宿泊施設を探したが、結果的にインフォメーションのいうとおり全てが満室であった。 iに載っていないペンションから4ツ星高級ホテルまで総当りしたが全部がだめだった。 セゴビヤはマドリッドから日帰り圏内にあることから宿泊する連中は多くないので予約なしで平気と考えていたのだが、もともとベッド数自体が多くないところにバカンスシーズンの週末が重なってしまいこのような全部満室状態になっているらしい、つまり予約なしでの訪問は無謀であったという事実にそのときになってやっと気が付いたのであったが・・

 空しい宿探しをしているうちに夕方になってしまい、もう足は棒のようで完全に疲れ果ててしまった。 スペイン語はダメでが英語も二人で半人前の我々としては万策尽きたと言わざるを得ない。 セゴビアの宿泊施設ほとんど全部に行ったのでもう行く当てもない我々は仕方なくまた街の中心に向かうことにし、「こんなとき車があればなあ」などと嘆きつつ荷物をガラガラ引きながら疲れた足で坂道を登っていったのである。

そのホテルは街の中心街、サン・マルティン教会の前にあった。 2時間ほど前に確認したところ「満室」と断られていたが、念のためにもう1回聞いてみようかということで受け付けのおじさんに聞いてみる。 よほど困った顔をしていたのだろうか、その強面のおじさん(2時間前に断った人とは別の人)は台帳をゆっくりと見ながら、そして我々の顔と荷物を見ながら、何故か溜息混じりに「OK」の返事。
「おじさん、ありがとう」と大声で、そしておもいっきり日本語で感謝、感謝。
部屋は「最後のひとつ」と言う感じで、普段は使わないようなの変則的な形の部屋だったが、疲れ果てていた我々にはすばらしく良い部屋に思えたのだった。

ホテルの部屋をやっとの思いで確保して安心し、「世の中には本当に良いおじさんがいるものだ」とか「これも日頃の行いが良いからだ」とか言いながら「お昼寝タイム」に突入。

 夕食はロンリープラネットを参考に「Meson Jose Maria」といかにもスペイン的な名前のレストランへ行った。 入り口の狭いバルみたいなところを奥へ行くとそこがレストラン入り口で制服姿が数人いる。 予約はあるかと聞かれ、予約はないと答えると一瞬考えてOKとのこと、しかし席は強制的に部屋の奥の端だった。 普段は席の希望をを堂々と主張する我々も、「Reserve」の札が置かれた席を次々に通り過ぎながら案内されたこの端の席について文句は言えなかった。

食事は名物料理の「仔豚の丸焼き」を含むコースを注文した。 生後2−3週間の仔豚を丸焼きにするというこの残酷なセゴビアの名物料理は、皮が北京ダッグのようにパリパリとしており肉はとても柔らかくて美味しい。 私のテーブルには「足付き」がやってきた。 可愛そうだが食べる。 この仔豚は4人分程度で1匹の量らしく、周りのグループのテーブルには次々と丸々1匹が運ばれる。 これが出てくると店の奥から偉そうな人物が登場してお祈りをしてから人数分に切り分けるのであるが、その前に何と「皿で切る」パフォーマンスがある。
オーダーしたグループから可愛い女性が立ち上がり、自分の皿を仔豚の前で大きく振りかぶったと思った瞬間その頭をかち割る光景には本当にびっくりした。 多分「皿で切れるほど柔らかい」ということなのだろうが、生まれてすぐに丸焼きにされて頭を割られて食べられてしまう仔豚の悲哀を感じてしまうのであった。

その店でオーダーした赤ワインがこれまた口当たりがよくて非常にうまい。 店専用のラベルに通し番号まで打たれているこのワインが次々と、本当に飛ぶような勢いで景気良く「ポン、ポン」とコルクが抜かれてゆくの様は見ていて楽しい。 調子にのってボトル1本空けてしまいフラフラしながらホテルに戻り爆睡。 いろんなことがあった1日だったが無事ホテルのベッドで寝られる幸せを噛み締めたのであった。

 昨夜のワインが効いていたのでゆっくりと起きる。 完全にスペインペースになっている。
外は快晴ですでに日は高い。 水道橋を端まで歩き写真撮影などをしながらぶらぶらしてバルでビールなど飲む。 セゴビアには「ローマの水道橋」「アルカサル」という日本でも有名な2大観光名所があるが、水道橋は予想以上にすごい建造物だった。 釘などの接合物を一切使わずに組み立てられた石の橋が現在でも使われている。 すぐ横のカフェでは観光客が飽きることなくこの橋を眺めている。 川がないところにこのような巨大な橋がある風景はとても奇妙なのであるが、この街にはまたそれが似合うのである。 「さすがローマ人はすごいことをする、京都蹴上の水路閣とは規模が違うなあ」と妙な関心の仕方をしたのであった。

 今日は昼食をしっかり食べるかということで13:40に横道の小さなレストランに入る。 このレストランも入り口は小さなバル風なのであるが、2階と3階がレストランになっている。 この時間はまだ昼食には早く我々の他には観光客らしき夫婦のみ。 これが食事を終える3時頃には歩道のオープンテラスにまで人が溢れることになるからおもしろい。 仔豚の丸焼きが含まれないメニューを慎重に選ぶ。しかし、この食事も量が多いことには変わりなくとても食べきれない。 半分以上も残すと「もう食べないのか?」とウェイター、腹が一杯だと言うと「こんなに少しで本当に腹いっぱいか?」といぶかしげな表情である。 周りの席では地元の連中が昼からワインをポンポン空けてでかい皿の料理をすさまじい勢いで平らげてゆくのであるが、基本的にみんな太っているぞ。 この食事のあとにシェスタで昼寝をしてまた夕食であるからこれは普通太るわなあ・・・・

たまらずホテルへ戻り昼寝をきめこむ。 やっぱりスペインペースになってしまっている。
昼寝から起きるともう夜の8時だ。 ホテルの前で始まったどこかの学校のクラシック演奏団のリハーサルを聞く。 日本人らしき学生もいるようだ。
カメラ片手に街をそぞろ歩いているうちに9時を過ぎてやっと暗くなる感じで気温も下がってくる。 昼の満腹感がまだ残っているのでサンドイッチで簡単に夕食を済ませてホテルに戻った。

 翌日は朝から大聖堂とアルカサルに入場するために出かける。 途中の店で簡単に朝食をすませてから行った大聖堂は朝一番の入場者となった。 まだ入場料を支払う場所のセットアップができていないようで無料で入場することが出来た。 早起きは300ペセタの得であると実感した。 この大聖堂は派手さはないがとてつもなく高い天井は空間的な広さを感じることができる。
 アルカサルも朝一番の入場でガラガラ、ゆっくりと内部を見ることが出来た。 アルカサルは高台の上に悠然と建つ美しい城で、昔は要塞として使われていたらしい。 しかし、この城の本当の美しさは大聖堂から歩いて行ったのではわからない。 城から見下ろす下の道路まで降りていって、城を下から見ると本当の美しさを堪能することが出来る。 更に時間があれば城の周りを巡る谷側の道路を歩き、見る角度によって刻々と変わる城の景観を楽しむのがベストである。

 朝早くからの外出を終え、ようやく活動が始まった街をホテルに戻り、チェックアウトしてからどんどんと到着する観光客と逆方向に歩きバスターミナルへと向かう。 マドリッド行きのバスに苦労して乗り込んだ。 このバスがいいかげんでチケット売り場はぎりぎりまで閉まっているし、次々と紛らわしいバスは来るし、結局乗ったバスは時間に遅れてくるし、そのたびに右往左往する我々を含む乗客は大変だった。 これもスペイン的なのか?・・・





・・・・・・・・ to be continued




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