Comillas → Fuente De
アルタミラ洞窟に未練を残しながら、デルマルを出発して次の目的地であるコミリャスへと向かう。 ここはガウディの建築物があると聞いていたのでぜひ見てみたいと思っていた街だ。 ところがコミリャスには大海水浴場があり街は大渋滞、とりあえず丘の上に見える目立つ建物に行ってみることにした。 ここは法王庁立大学であることが判明、街が一望できるが反対側は海に面しておりすごいロケーションの大学だなあと驚いてしまった。 しかし、一望する街の景色にはガウディらしき建物は見えない。 仕方なく街へ降りて探すことにして大渋滞の街を車でグルグル回っていると何やら人と車が集中している場所があった。 ここが目指す場所だった。
ガウディの建造物は「気まぐれ亭(エル・カプリーチョ)」というもので、コミリャス侯爵邸の中にある奇抜な雰囲気の建物。 コンセプトはずばり「ひまわり」で外壁一面にひまわりが描かれている。 初めてガウディの作品を見たが、かなりの衝撃だった。 現在はレストランになっており日本人が経営しているらしいが、シェスタの時間で夕方までクローズとなっていた。
おもしろいのは、建物のすぐ横のベンチにガウディ本人が座っており、自分の作品を見上げているのを見つけたことだ。 彼は何を思っているのだろうと隣に座って同じポーズをとってみた。
コミリャスを後にして西へと車を走らせる。 信じられないことに道路があちこちで渋滞しているではないか。 渋滞がすべて海水浴場へ向かう車であるのを見て予定を変更することにした。 ビーチリゾートの街へ向かう道は大渋滞という状況は、スペインにまで来てまさか渋滞に合うとは想像していなかった我々をビックリさせたのであるが、今はバカンスシーズンであることを考えるとこれは毎年のことなのでであろう。 当初の予定では海岸をオビエドまで西に向かい、オビエド付近から南下してレオンに行く計画であったが、予定変更を決意し早々と進路を南にとりピコス・デ・エウロペの山々を楽しむことにしたのである。 到着してからの快晴続きがまだ続くと読んだ選択であったが、結果的にはこれが大正解となる。
海岸線から一転して山道のドライブとなった。 デバ川に添ってよく整備された渓谷の山道が延々と続く。 車はほとんどいなくて、天気は快晴、空気はきれいで深い緑の森を進んでいるとずいぶんとスペインのイメージと違うところにきたものだと思う。 赤茶けた山に見渡す限りのオリーブの木という風景とはまったく違うのだから・・
小さな村を次々に通り過ぎる。 どんな村にもバルだけはきっちりと存在するのがさすがである。 時折大きな街を通るが人も車も多い。 右ハンドル、マニュアルの運転にもすっかりと慣れて運転は快調そのものである。
郊外の道路を快調に飛ばしていると、制限速度50Kmの標識が出てくる。 この標識が村に入るぞという合図なのだ。 速度を落として村を通り過ぎるとまた速度を上げて高速運転モードに入る。 こんな運転を繰り返しているとポテス(Potes)というかなり大きな街に着いた。 山の中とは思えない程の人と車で渋滞している町中を通り過ぎる。 我々が目指しているのは、ミシュランの地図にも載っていない小さな村「モグロベホ(Mogrovejo)」なのだ。 この村は日本のスペイン大使館で手に入れた小さな小雑誌「グリーン・スペイン」という資料で紹介されていたもので、「ピコス・デ・エウロペで一番美しい小さな村」と紹介されていたのでぜひ行って見たいと考えた。
モグロベホ村は幹線道路から細い坂道を少し上った場所にあった。 その村の背景には息を飲むほどに美しいピコス・デ・エウロペの山々が見えた。 雲一つない空からさんさんと照りつける太陽の下、車の騒音もまったく聞こえず鳥の鳴き声と虫の声以外の物音はない。 空気が澄んでいるので山がくっきりと見えて手を伸ばせば届きそうなのだ。
村の人たちはのんびりと日向ぼっこを楽しんでいる。 とても平和な気分になる。村のおばさん達に「この村に泊まるところはありますか」と聞くが、宿泊施設はないとの返事。 せっかくこの村を目指してきたのに残念。 今少しこの村で平和な気分を味わってから出発する。
この道路の終点がフェンテ・デ(Fuente De)だった。 目の前には先ほどモグロベホ村から見た山がそそり立っている。 道路はここで終わっており行き止まりは駐車場になっているが満車状態である。 ふと見上げるとロープウェイが目前の山の頂上に向かって登ってゆくではないか。 そうか、ここからあのロープウェイで山へ登るのかと理解する。
ロープーウェイの切符売り場へ行くと、2時間以上待ちとのこと。 更に山から降りるのにも1時間以上待つらしい。 まだまだ明るいが時刻は夜の7時30分であり、明日の天気が心配であったがこのロープウェイは諦めて翌日に出直すことにした。 しばらくこの雄大な風景を眺めてから元来た道を戻る。
モグロベホ村に近い道路沿いにペンションを見つけてチェックインした。 小さな安いペンションだったが、レストランはそれなりの料理を出す。 こんな山の中でもきちんとした料理を出すスペインの食文化は奥が深いと思った。
翌日が晴れることを祈りながら早めに寝た。
・・・・・・・・ to be continued

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