★ サンティリャーナ・デル・マル ★



Santillana del Mal


 マドリッドの朝は時差ぼけで眠い。 無理やり起きて朝食にする。 自宅のコーヒーカップの4倍容量はあろうかという大きなマグカップにコーヒとたっぷりのミルクを注いで飲むカフェ・コン・レーチェは、ぼんやりとした頭にしみとおる美味しさだ、昔のスペイン旅行でこの味に初めて出合った頃を思い出した。

 ホテルからのシャトルバスで空港へ向かう。 ターミナル1(T1)は国際線で、バスの連中は我々を残しみんなここで降りてしまう。 我々はサンタンデールへ向かうため国内線のT2へそのままバスで向かう。 バカンスシーズンの日曜ということでT2はとても混雑していた。 チェックインカウンターの列に並んでやっと順番がくると、「この便はT3でチェックインしなさい」と簡単に言われてしまう。 T2から荷物をガラガラ引きながらT3まで延々と歩く。 やっと着いたT3は閑散としているので唖然、なんだこの違いは? だいたいT3とは何なのだ・・・
その後、T3はAir Nustrum専用のターミナルであることがわかった。 Air Nustrumとはイベリア航空の国内専用のエアラインで日本でいうとANAに対するANKのような関係か?

 この閑散とした場所で出発まで待つが、またまた出発が遅れる雰囲気である。表示には遅れ[Delay]と出るだけで出発予定時刻は表示されない。 放送はスペイン語のみなので理解できない。 また飛行機を取り替えたりしないだろうな? などと心配になる。
待合室ではみんな文句も言わずに静かに待っている。 結局1時間30分遅れでやっと飛行機は離陸したのであった。 しかし我々の偉いところは、この1時間30分遅れた到着でもサンタンデール空港のハーツ[Hertz]カウンターの前に予約時間ピッタリに現れたことである。 何となく飛行機が遅れる予感がしてレンタカーの予約時間よりかなり早い便にしておいたのであった。
この予感が見事に当たったのは、昨年のミュンヘン空港での経験があったからなので、旅のテクニックの上達振り?を自ら納得したのであった。


 サンタンデール空港ハーツの小さな事務所では1人のおじさんが我々を待っていた。このおじさんがまた愛想がなくて黙々と必要書類に記入してゆく。 困ったことに英語が通じない。 書類作成が終わると何と事務所を閉めてしまった。 そして我々を駐車場の車まで案内してキーを渡すと「じゃあね」と言って自分の車でそのまま帰っていった。 事務所は夜まで開いているはずなのにこれで良いのか! などと思ってしまう。 本当に愛想のないおじさんだ、昨年のスロベニア・ハーツのおじさんの親切さと愛想の良さを少しは見習え!! と言ってもあっという間におじさんの車は走り去っていったのであった。

 今年のレンタカーは、初めての車種だ。 過去に乗った車はプジョー、ルノー、オペルなどだが今回は見たこともない車種だ。 でもエアコン付きの液晶表示でいままでのなかで一番グレードが高い。 多分スペイン国産車なのだろう、説明書にはSEAT社のCORDOBAと書いてある、名前からしてスペイン的だ。排気量は多分1900CCだ。 バックギアの入れ方だけはおじさんに聞いていたので最初からスイスイと運転だぞ。
一年ぶりの右側通行、左ハンドルで緊張しながら誰もいなくなった空港の道路を走り出した。
結果的に、暑いスペインではこのエアコンが決定的に効果的であった。 そして山道をドライブした今回はこの馬力は有り難かった。 少々価格がアップしてもこのクラスが良いと実感したのであった。

 国道に出ると回りの車の速度に驚く。 スペイン人ドライバーはみんなスピード狂か? すごい勢いで飛ばしている。 時速100kmの我々の車をビュンビュン追い越してゆく。
車はカーレースのような国道に別れを告げ、この日の目的地であるサンティリャーナ・デル・マルへと向かった。 スペインの運転で困ったのは「ロータリー」という仕組みで、あちこちにあるこのロータリーは走りにくいこと極まりない。 道路が交差する場所にはロータリーがあり、みんなこのロータリーに入ってから左回りに進むのであるが、ロータリー内の車が優先で必要なときにロータリーから右へ出てゆくという一見合理的なシステムなのであるが、いろいろ変則パタンがあり慣れない私は待つのか行くのかが瞬時に判断できず本当に戸惑ってしまった。
さてロータリーを一つずつクリアしながら走っていると何だか道路沿いに人が大勢いる場所を見つけた。 あっという間に通り過ぎたがそこが目的地サンティリャーナ・デル・マルだったのだ。 慌ててユーターンして戻り、駐車場に車を止めてからデルマルの探索を始めた。 この小さな村は車の乗り入れが原則禁止されていたのだった。


 ひっそりとして落ち着いた町(村?)と思っていたら、すごい人混みに驚いた。 よく考えれば日曜日なので観光地であるこの村には人が繰り出していたようだ。 駐車場から道路を渡り少し行くと道が左右に分かれる。 こういう場合は京都の伏見稲荷大社の鳥居方式で左の道を行くことにしている。 落ち着いた造りの家屋が道の両側に並んでいる。 突き当たり付近にパラドールを見つけたので中に入ってみる。 初めてパラドールを見たが、建物にも従業員にも風格のようなものを感じた。 オスタルらしき場所もあるが、駐車場からここまで石畳の登り坂を荷物を転がすかと思うと辛い気がして決められない。 駐車場に戻り近くのペンションやプライベートルームをあたるが全部満室だった。 やはりここは観光地だと確信した。
 満室と断られたペンションのおばさんから紹介された「フェルナンド(Fernando)」という少し離れたペンションでやっと部屋を見つけることができた。 フェルナンド・・・ なんてスペインらいし名前なのだと幸先の良い旅のスタートにうれしくなる。

 車をフェルナンドへ移動させてチェックインし活動開始だ。 カメラ片手にサンティリャーナの町をぶらぶらする。 落ち着いた町並みなのだが何せ人が多い。 どこから涌いて出たかと思う程の人込みだ。 まだまだ明るいのだが時間は夜の8時過ぎ、しかしレストランには誰もいない。 まだ夕食に早いのか?? (実はまだまだ夕食の時間ではなかったということがその後のスペイン滞在ではっきりすのでであるが、このときはそれを知る由もない)
 ほとんど人がいないレストランでステーキと白身の魚を食べる。 この魚は「メルルーサ」というタラのような魚で、その後数日間はどこのレストランでもメニューにあった。
まだ時差ボケの私は相当眠くて意識が朦朧、フェルナンドにはテレビもある訳がなく早々に寝ることにした。


 翌朝は教会の鐘の音で気分良く目覚めた。 と思ったら、教会の鐘ではなくカウベルの音だった。 フェルナンドの隣にある畑で牛が遊んでいたのだった。 時刻は朝の8時、スペインでは「早朝」だ。
「朝のお散歩」に出かける。 外の気温は何と16度でとても寒い。 日本ではうだるような暑さの中、汗だくで街を歩いていた体が驚いてしまっている。
昨日は日曜でもあり観光地のサンテリィーナ・デル・マルは観光バスで乗り付ける団体さんも多く相当な混雑だったが、月曜の朝早くでは人影もない。 ゆっくりと朝のデルマルを散策することが出来た。

朝食はペンション近くのバル。 もう10時になろうというのに我々が一番の客で、店員はまだ朝のお掃除をしている。 お約束のカフェ・コン・レーチェにパンとスペインオムレツ。 コーヒとオムレツは本当においしい。 気温はすでに出発したときから10度近くは上がってきている。

 デルマルを離れる前に2km程離れたところにある有名な「アルタミラの洞窟」へ行ってみた。 この洞窟は1年以上前から申し込まないと見学が出来ないと聞いていたが、何かの間違いで見学できるかもしれないと思ったのだ。 しかし月曜なので隣接する博物館も休館だろう、でもせっかくここまで来たのだからと思い行ってみた。 結果は写真が1枚だけでやはり博物館は休館で洞窟は・・・ 駐車場までしか行けなかった。 残念!



・・・・・・・・ to be continued




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