★ ヨータカナル1 ★


 前日の雨が嘘のように朝から快晴である。 今日は待ちに待った「船」に乗り込む日であるので朝から気分が良い。 スウェーデンの田舎をゆく運河の旅の出発日は申し分ない天気であった。
ヨーテボリの港には我々が乗り込む船が接岸していた。 「ウィルヘルム・サム (Wilhelm Tham) 」号は想像以上に小さな船だった。 続々と集まってくる乗客達、我々も予約確認書を提示してチェックインすると、小さなキャビンへと案内された。 キャビンは想像通りに狭く寝台列車の二段ベッドのような感じである。 このキャビンがこれから3泊4日の運河の旅のホテルとなるのである。
全員が船に乗り込むと「ポー」と力強い汽笛の音を残して船は岸壁を離れた。 さあ、優雅な船旅へと出発進行。 

運河を進む船  ヨーテボリからストックホルムまでの約190kmをスウェーデン内陸部に点在する湖と川そして運河を進みながら3泊4日で旅するのが「ヨータカナルの旅」である。
この航路は多額の通行税を徴収される当時デンマーク領であったバルト海を通過せずに北海へ出るために考え出され、莫大な費用をかけて1832年に完成したもの。 バルト海の通行税廃止、陸上交通機関の整備により当初の存在意義はなくなった現在では観光船、ヨット、ボートなどの通行がメインである。 ヨータカナル観光船は夏期限定で運行されており昔から変わらず同じ船で営業している。
今秋我々が乗った船は [Wilhelm Tham] であったが、その他に [Juno] [Diana] の2隻の船が運行していた。 

船はヨーテボリを出発してまもなく運河に入る。 この運河に合わせて建造された船は(当たり前だが)運河の幅にジャストフィットしゆっくりと、本当にゆっくりと進んで行く。
しばらくして船は最初の水門に到着した。 水門に入ると前方の水門は閉まった状態で後方の水門がゆっくりと閉まる。 そして前方の水門の「窓」から水が注ぎ込まれる。 すると我々の船が徐々に上昇してゆくではないか!
充分に上昇すると、つまり前方の水門の向こうと同じ水位に達すると、前方の水門が開き船は前進する。 するとその先には次の水門があり今通過したばかりの水門が後方で閉まる。 そして前方の水門の「窓」から水が注ぎ込まれる。
坂道に連続して設置される水門に対しこれを繰り返すことで船はどんどん上って行く事が出来るという訳だ。 下りはもちろん逆の手順を繰り返すのであるが、この「水門通過」がとてもおもしろい。 合計65カ所もの水門を通過するのだが水門1カ所を通過するのに10分も20分もかかり、これら水門と周りの景色が場所によって違うため見ていてまったく飽きない。 階段のように水門が連続する場所では船を下りて散歩することもできる。 このような場所では船が進むスピードよりも歩くスピードの方が断然早いのである。

 ・・・・・・・・ to be continued

ヨーテボリ ヨータカナル2


スウェーデンに戻る


ご意見は hiro_homepage@ab.auone-net.jp まで

Copyright (C) "HIRO" 1997-1998